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【2024年版】アメリカにおけるEVの普及率は8%補助金や政策についても解説

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この記事では、現在のアメリカにおけるEV普及率やEVに関する実情を紹介します。

アメリカにおけるEVの普及率は8%

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の発表によると、アメリカにおける2022年のEVの新車販売台数におけるEV・PHEVの比率は、約8%です。前年2021年のEVの販売比率4.5%から1.7倍の伸びを示しており、販売台数は約36万台の増加です。

この統計における「普及率」は新車販売におけるEV比率を示し、「EV」はBEVとPHEVの両方を含みますが、2021年と2022年の販売台数を比較すると、完全な電動車であるBEVの大幅な増加が見て取れます。PHEVは16万台から19万台と1年間で3万台程度の増加であるのに対し、BEVは47万台から80万台へと大幅に販売台数を伸ばしています。

出典:Global EV Data Explorer, iea.org

さらに新しい統計を見てみましょう。Motor Intelligenceのデータによると、2023年第一四半期では、半導体チップ不足も解消し、内燃車・EVを問わず全体の新車販売台数は前年同期比7.8%増の約360万台となりました。EVの供給量が衰えることはなく、BEV・PHEV・FCEVの3種類が占める割合は8.6%となり、前年同期比45.4%増。BEVは、前年から48.0%の増加となりました。

参考:日本貿易機構「第1四半期の米自動車販売、供給回復で前年同期比7.8%増」(2023年04月13日)

これらを考慮すると、アメリカのEV普及率は年々増加の一途をたどっています。また、日本におけるEVの販売比率も急激に上昇しており、現在のEV及びPHEVの新車販売比率は4.0%台前後を維持しています。2023年5月時点の販売比率は3.71%。2023年5月の販売比率は前年比で1.7倍、一昨年比2.6倍です。販売台数は前年比2.6倍、一昨年比3.7倍の成長を見せています。

EV充電器の普及台数

EVの普及に欠かせないEV充電器などのインフラ整備費用としても、75億ドルの助成金プログラム(CFI)を盛り込んでおり、2030年までに充電器を50万基設置するとしています。

充電ステーションをアメリカ国内の州間道路50マイル(約80キロ)間隔に設置を義務付け、出入口から1マイル(約1.6キロ)以内への設置も求めます。各充電ステーションにさまざまなメーカーのEVに対応するDC急速充電器を最低4基設置し、渋滞緩和やピーク時の混雑緩和を目指します。

アメリカのEV充電器数は、2022年で12万8000基。2021年の11万4000基と比べると約12%の伸び率です。内訳は以下のとおりです。

・2022年:急速 2万8000基 / 普通 10万
・2021年:急速 2万2000基 / 普通 9万2000

普通充電器は、1年で8000基も増えています。統計に記載されない普通充電を含めるとさらに多くの充電器が設置されていると予測できます。アメリカ政府のEVやPHEV、FCEV普及に向けた取り組みの姿勢は、このCFIを見ても明らかです。

参照
Global EV Data Explorer, iea.org
ロイター「米財務省、EV税額控除でバッテリー調達基準の詳細指針公表を延期」(2022年12月20日)
“States get final OK to build highway EV charging network”, AP News

EVの普及を後押しする2つの要因

アメリカでEVが普及すると予想される背景には、具体的な政府目標と、産業政策としての補助金があります。

それぞれ詳しく紹介します。

◎米政府目標は「2030年までにEV普及率50%」

アメリカは2021年8月に新車販売に占めるEVの割合などの比率を2030年に50%に引き上げる(ハイブリッド車は含めない)目標を掲げました。

また、2023年4月には米国環境保護庁(EPA)が、「2027 年モデル以降の小型車両および中型車両の複合汚染物質排出基準」を発表しました。これは温室効果ガスと大気汚染物質の排出基準を規制する規制案であり、結果として環境に優しいカーボンニュートラルなクルマであるEVの普及を大きく後押しするものとなります。

対象となるのは、小型車(乗用車と小型トラックを含む)と中型車の2027年〜2032年モデルです。特に、小型車のCO2排出基準は、過去最も厳しい数値になっており、2022年2月に発行された現行規制に比べて56%の削減を求められます。

2030年までに新車販売のEV比率を50%にするという大きな政府目標に向けて、EVが急速に普及する環境が整備されています。

参照:EPA「Proposed Rule: Multi-Pollutant Emissions Standards for Model Years 2027 and Later Light-Duty and Medium-Duty Vehicles」

◎補助金・税控除による優遇制度

日本国内でも「CEV補助金」というEV普及を目的としたEV購入補助が行われていますが、アメリカも例外ではありません。いまアメリカで注目されているのは、2022年8月に成立した「インフレ抑制法(IRA)」です。

このIRAでは、EV購入者を対象とした新たな税額控除が規定されています。厳密には補助金ではありませんが、一定条件を満たす「クリーン自動車」の新車購入者に対し、1台につき最大で7500ドルの税額控除が付与されます。

IRAは、過度なインフレを抑制すると同時に、気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律で、2023年1月1日からすでに運用が開始されています。なお、税額控除となる対象は、米国メーカーの22モデルとなります。

参考:U.S.GRAINS「米国インフレ抑制法」

実際のEV販売トレンド

EVの実際の販売トレンドを、「EVの販売台数」「世界的な流れ」から紹介します。

  • EVの販売台数
  • 世界的にもEVシフトの流れ

◎EVの販売台数

前述の通り、アメリカにおけるBEVの販売数は2022年80万台、2021年の47万台と比べると70%も増加しています。また、コックス・オートモーティブ社では2023年の新車販売台数は前年比の3%増加し、市場は1,410万台に達すると予測もされています。

テスラ社のEVは世界一の売り上げ台数を誇り、2022年のアメリカでのEV販売の65%を占めるなど、圧倒的な差で首位を維持しています。

なかでも、アメリカでの1番人気は「モデルY」で60,271台を売り上げています。次いで「モデルS」で55,030台が販売されています。(2023年時点)

◎世界的にもEVシフトの流れ

現在、世界各地で脱炭素化を目指したEVシフトがトレンドになっています。中国のEV普及率は29%に達し、一部のヨーロッパ諸国では20%を超える勢いです。

参照:IEA「Global EV Data Explorer」

たとえば「EV先進国」とも称されることのあるノルウェーは、2025年までにすべての乗用車の新車販売について、温暖化ガスを排出しないゼロエミッション車にするという厳しい目標を掲げており、現在のEV・PHEVの普及率は88%と圧倒的な数値を示しています。

普及の背景には、政府のEV購入、またはリース時の購入税、付加価値税(VAT)などが減税になる補助金制度を導入しており、こうした補助金の制度やEV充電器などのインフラの拡充政策がEV普及率を押し上げています。

このように、世界各国でEV普及がトレンドとなっており、ほぼ例外なく購入補助や税金優遇制度導入といった国家主導の普及促進政策が行われています。

なお、日本も例外ではなく、EVの車両購入を補助する制度EV充電器の設置導入にかかる費用を支援する補助金制度費用が用意されています。

まとめ

  • アメリカのEV普及率は2022年で8%目前で前年の約2倍
  • 充電ステーション設置の義務付け
  • 新車販売に占めるEVの割合の比率を2030年に50%に引き上げ
  • 温室効果ガスと大気汚染物質の排出基準を規制
  • 1台につき最大で7500ドルの税額控除が付与

アメリカでは、政府も積極的にEVの普及に向け、インフラの整備やEV購入への補助金投入などの施策を行っています。今後はCO2排出基準の規制や内燃車の販売規制も背景に、さらにEVは普及していくでしょう。

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