【2025最新版】世界の電気自動車(EV)の動向は?普及率から総台数、販売台数まで解説
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世界で電気自動車(EV)の普及が進んでいます。世界の電気自動車(EV)の普及率、販売台数や総台数、国別の政府目標や政策、もっとも売れている自動車メーカーや車種など、最新の世界の電気自動車の動向をお伝えします。
世界の電気自動車の普及率は22%
国際エネルギー機関(IEA)の発表データによると、世界の電気自動車の普及率(新車販売台数に占める電気自動車(BEV・PHEV*)の比率)は、2024年時点で22%です。2020年以降の伸び率が大きく、2020年4.4%、2021年9.3%、2022年15.0%、2023年18.0%、2024年22.0%と上昇を続けています。
世界の新車販売台数におけるBEV・PHEV比率の推移(2010-2024)
以下は、2024年時点の国別の電気自動車普及率です。
新車販売台数におけるBEV・PHEV比率(2024)
国名(ヨーロッパ) | EV普及率 | 国名(ヨーロッパ以外) | EV普及率 |
---|---|---|---|
ノルウェー | 92% | 中国 | 48% |
スウェーデン | 58% | イスラエル | 21% |
デンマーク | 56% | カナダ | 17% |
フィンランド | 50% | ベトナム | 17% |
オランダ | 48% | コスタリカ | 15% |
ベルギー | 43% | オーストラリア | 13% |
アイスランド | 42% | タイ | 13% |
ルクセンブルク | 36% | アメリカ | 10% |
ポルトガル | 33% | 韓国 | 9.2% |
イギリス | 28% | コロンビア | 7.4% |
スイス | 28% | インドネシア | 7.3% |
アイルランド | 25% | ブラジル | 6.4% |
フランス | 24% | 南アフリカ | 4.3% |
オーストリア | 24% | マレーシア | 3.6% |
ドイツ | 19% | 日本 | 2.8% |
キプロス | 12% | メキシコ | 2.2% |
ギリシャ | 12% | チリ | 2.1% |
ハンガリー | 12% | インド | 2.1% |
ラトビア | 12% | ||
リトアニア | 12% | ||
スペイン | 11% | ||
スロベニア | 8.1% | ||
イタリア | 7.9% | ||
チェコ共和国 | 6.8% | ||
ルーマニア | 6.5% | ||
ポーランド | 5.7% | ||
ブルガリア | 5% | ||
ウズベキスタン | 5% | ||
クロアチア | 4.9% | ||
スロバキア | 4.8% | ||
ロシア | 2.9% |
もっとも普及率が高い国はノルウェーで92%、次いでスウェーデン58%、デンマーク56%、フィンランド50%とヨーロッパ諸国が上位を占めています。ヨーロッパ全体の普及率は22%で、2024年に販売された車の5台に1台以上が電気自動車となっています。
ヨーロッパ以外の国の普及率は、中国が48%ともっとも高く、次いでイスラエルが21%、カナダとベトナムが17%、コスタリカが15%となっています。日本の普及率は2.8%と、世界的にみるとまだ低い状況です。
電気自動車の販売台数と総台数は中国がトップ
地域別に見ると、電気自動車の普及率はヨーロッパが上位ですが、電気自動車市場においては中国が世界をリードしており、販売台数・保有台数ともに圧倒的なリードを保っています。
世界の電気自動車販売台数の推移(2014~2024年)
出典:Global EV Outlook 2025
世界の電気自動車保有台数の推移(2010〜2024年)
出典:Global EV Outlook 2025
2024年の世界の電気自動車の販売台数は1700万台を超え、このうち64%が中国、18%がヨーロッパ、8%がアメリカで販売されました。保有台数は5800万台に達し、中国・ヨーロッパ・アメリカが世界の電気自動車保有総数の約93%を占めています。
市場1位の中国は、2024年の電気自動車販売台数が1130万台と、世界の3分の2(64%)を占めています。保有台数は3400万台で、世界の半分以上の電気自動車が中国にあります。
市場2位はヨーロッパで、2024年の電気自動車販売台数は318万台と世界の18%を占めています。電気自動車の保有台数は1410万台で、世界の24%の電気自動車はヨーロッパにあります。
ヨーロッパの中でもっとも市場が大きいのはドイツです。ドイツでは2023年末にEV補助金が停止となり、電気自動車販売台数は2023年70万台から57万台へと減少したものの、依然としてトップの座を維持しています。次いでイギリスが55万台、フランスが45万台となっています。
第3位の市場はアメリカで、2024年の電気自動車販売台数は152万台と世界の8%を占めています。保有台数は630万台で、世界の10%の電気自動車がアメリカにあります。
日本のEV市場は依然として小規模です。2024年の販売台数は10万3000台と世界の0.5%、保有台数は62万台で世界の1%にとどまっています。
2024年世界のBEV・PHEVの販売台数
2024年世界のBEV・PHEVの保有台数
※構成比は小数点以下を切り捨てしているため、合計が100%にならない場合があります。
世界のEV充電インフラの動向
世界で電気自動車が普及するにつれて、各国の公共EV充電器の必要性がますます高まっています。2024年時点で、世界の公共EV充電器は540万台(普通充電器340万台、急速充電器200万台)です。
設置数がもっとも多い国は中国で、2024年時点で普通充電器190万台、急速充電器160万台が設置されています。中国は世界の普通充電器の55%、急速充電器の80%を占め、EV充電器の導入をリードしています。
ヨーロッパでは、2024年時点で普通充電器81万台、急速充電器18万台が設置されています。2023年後半には欧州連合で代替燃料インフラ規制(AFIR)が採択され、欧州連合の主要輸送回廊沿い60kmごとに公共の急速充電器を設置することが義務付けられました。これにより、今後ヨーロッパのEV充電インフラは急速に拡充していくとみられます。
アメリカでは、2024年時点で普通充電器14万台、急速充電器5万3000台が設置されています。充電インフラの拡充とあわせて、充電規格の統一も進行中です。2023年12月、自動車技術者協会(SAE International)は、テスラの北米充電規格(NACS)に基づく充電コネクタ「J3400」を北米全体の標準規格として採用することを発表しました。自動車メーカー各社が対応を進めており、充電器の相互運用性が高まることで、より使いやすい充電環境の実現が期待されています。
日本では、2024年時点で普通充電器2万4000台、急速充電器1万台が設置されています。日本政府は2030年までに公共用の急速充電器3万口を含む30万口の充電インフラ整備を目指しています。
2024年世界のEV充電器の保有台数
出典:Global EV Outlook 2025よりミライズエネチェンジが作成
各国政府の電気自動車普及目標
主要国の電気自動車普及目標と主な政策は次のとおりです。
中国
中国政府は新車販売における新エネルギー車(NEV)*の割合を2027年までに45%に引きあげることを目標にしています。もともと「2025年に20%以上、2030年に40%以上、2035年に50%以上」という段階的な目標を掲げていましたが、これらを前倒しで達成したことから、2023年に目標が引きあげられました。
さらに、2035年には新車販売におけるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にするとし、ガソリン車は市場から排除されます。
中国では、2022年末に電気自動車購入に対する国の補助金制度が終了しましたが、購入税10%の免除措置や、2024年に導入された買い替え補助金制度により、電気自動車市場は引き続き拡大しています。この買い替え補助金制度では、旧車を下取りに出し電気自動車を購入すると、最大2万元(約40万円)の補助金が支給されます。制度の利用者は2024年だけで約660万人にのぼり、そのうち約6割が電気自動車を購入しました。
【関連記事】中国のEV普及率、普及拡大の取り組みとは
ヨーロッパ
欧州連合は、2035年までに合成燃料(e-fuel)車を除き、ガソリンやディーゼルを使用するエンジン車の新車販売を禁止する方針を掲げています。
ヨーロッパでは、早期から電気自動車購入時の補助金や、税金の優遇措置などがとられてきました。スウェーデン ・オランダ・ドイツ・イギリス・フランスなど、近年電気自動車の普及が進んできた国では、補助金や税金の優遇措置などを徐々に削減、または段階的に廃止し、充電インフラ拡充など次の段階の政策に力を入れ始めています。
たとえば、ドイツでは2023年末でEV購入補助金(1台あたり4500ユーロ(約73万円))が終了し、その代替として、2024年7月から2028年まで、企業向けの税制優遇措置が導入され、商用車需要を後押ししています。
イギリスでは2022年末に補助金が終了しましたが、排出量取引制度(Vehicle Emissions Trading Scheme)が2024年に開始されました。イギリスでは法人車両が新車登録の約60%を占めており、税制上の優遇措置が普及を後押ししています。
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アメリカ
アメリカ政府は、2030年までに新車販売のうち50%以上を電気自動車と燃料電池自動車にするという目標を掲げています。
2022年8月に可決されたインフレ抑制法 (IRA)の一部ではEV導入の加速に重点が置かれました。車両の最終組み立てが北米で行われているなどの決められた要件を満たしている電気自動車の購入時に、1台あたり最大で7500ドルの税額控除が受けられます。ただし、すべてのEVが満額の対象となるわけではなく、2024年の平均的な控除額は1台あたり約4000ドル(約57万円)でした。
それでも、アメリカは主要3市場(中国・ヨーロッパ・アメリカ)の中で、1台あたりの補助額がもっとも高い国となっています。
【関連記事】アメリカにおけるEVの普及率は8%補助金や政策についても解説
日本
日本政府は、2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする目標を掲げています。それにあわせて公共用の急速充電器3万口を含む充電インフラの数を2030年までに30万口設置まで伸ばし、ガソリン車並みの利便性実現を目指しています。
2025年度には、電気自動車購入時の補助金「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」に1100億円の予算を、EV充電器導入時の補助金「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」に460億円の予算をあて、補助金給付を行っています。
【関連記事】日本のEVの普及率は?最新データで解説します!
韓国
韓国政府は2030年までに電気自動車を420万台、充電器の普及率を電気自動車1.9台あたり1台(123万台)に増やすことを目標に掲げています。また、2030年までに電気自動車の生産を330万台まで引きあげ、世界の電気自動車生産国トップ3になることを目指しています。
政府は2023年の電気自動車購入時の補助金を引きあげ、車両価格が5700万ウォン(約600万円)未満なら満額給付をしています。
さらに、自動車メーカーと共同でバッテリーの開発に20兆ウォン(約2100億円)を投資し、次世代のEVバッテリーの量産を目指しています。
世界で販売台数トップの電気自動車メーカー・モデルは?
世界各国のEV販売状況を発信するアメリカのメディア「CleanTechnica」の最新データを元に、世界で販売台数トップの電気自動車メーカー・モデルを紹介します。
世界の電気自動車販売台数トップのメーカーは「BYD」
世界の電気自動車販売台数メーカートップ20(2024年)
2024年に世界でもっとも売れた電気自動車メーカーは昨年に引き続き中国のBYDです。BYDはバッテリー製造事業から2003年に自動車産業に参入し、2008年から電気自動車を販売しています。手頃な価格設定が人気となり、長年世界トップを走ってきたアメリカ・テスラを抜いて世界1位となりました。
2位はアメリカのテスラです。電気自動車のみを製造・販売するメーカーで、テスラの電気自動車は航続距離が非常に長く、驚異的な加速性能を持ちます。また、世界最大級の急速充電ネットワークを保有・運営しています。
3位は中国の五菱(ウーリン)です。米ゼネラル・モーターズ(GM)、中国の上海汽車、柳州五菱汽車の合弁会社として2002年に設立された「上汽通用五菱汽車(SGMW)」のブランドで、低価格のEVを展開し人気を集めています。
4位は中国の吉利汽車(ジーリー)です。もともとは冷蔵庫部品を製造していた企業で、1997年に自動車産業に参入しました。現在ではボルボやロータスといった海外ブランドも傘下に持ち、一般向けから高級EVまで幅広いラインナップを展開しています。
5位はドイツのBMWです。BMWの電気自動車の歴史は長く、1972年夏季オリンピックで最初のモデル「BMW 1602 Electric」を発表。現在に至るまでに50年以上をかけて、電気自動車技術の進化にあわせた新たなモデルや技術の開発を続けています。
日本メーカーではトヨタが14位に入っています。海外で人気の車種は「bZ4X」「bZ3」「RAV4 PHEV」「C-HR PHEV」「クラウン クロスオーバー PHEV」「プリウス PHEV」です。
世界の電気自動車モデル販売台数トップは、テスラ「モデルY」
世界の電気自動車モデル販売台数トップ20(2024年)
出典:CleanTechnica
2024年に世界で売れた電気自動車モデルのトップ3は、テスラ「モデルY」、BYD「Song / Seal U」、テスラ「モデル3」でした。
メーカー別売り上げ1位のBYDは、2位「Song / Seal U」、4位「Seagull / Dolphin Mini」、5位「Qin Plus」6位「Yuan Plus / Atto3」、8位「Destroyer 05」9位「Han」、10位「Qin L」、11位「Dolphin」13位「Seal 06」、19位「Song L」と、トップ20にもっとも多い10車種がランクインしています。
7位の「HongGuang Mini EV(宏光 MINI EV)」は、中国の五菱(ウーリン)が販売する小型EVです。約70万円〜という衝撃的な低価格により、発売以来根強い人気を維持しています。12位の「Bingo」も同じく五菱のモデルで、広めの室内空間と長めの航続距離が特徴です。約120万円〜と手頃な価格が支持されています。
トップ20のうち、16車種が中国メーカーです。中国の世界に占める市場の大きさがうかがえます。
世界の電気自動車、今後の展望
国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、世界の総保有台数は2030年に2億5000万台に達する見通しです。2030年には、世界のすべての車両のうち約15%がEVになると予測されています。
また、電気自動車の年間販売台数は、2030年までに大きく拡大し、販売比率は約40%に達すると見込まれています。
さらに、世界のEV充電器の台数は、2025年から2030年の間に世界で約1億5000万台が新たに設置される見通しです。このうち約3分の2が自宅用、約30%が職場などの私設用、残りの8%が公共用とされています。
公共充電インフラの整備も進み、特に急速充電器の導入が加速する見込みです。2030年までに公共急速充電の設備容量は現在の10倍以上に拡大し、世界全体のEVユーザーに対応できるようになります。
まとめ
最新の世界の電気自動車市場についてご紹介しました。
- 世界の電気自動車普及率は、2024年時点で22%
- 世界の電気自動車の販売台数は、2024年時点で1700万台
- 世界の電気自動車の総台数は、2024年時点で5800万台
- 世界の公共EV充電器は、2024年時点で540万台
- 世界の電気自動車市場をリードするのは中国、次いでヨーロッパ、アメリカ
- 世界でもっとも売れている電気自動車メーカーは中国のBYD、次いでアメリカのテスラ、中国の五菱(ウーリン)
世界の電気自動車の普及率は、各国が普及政策目標のゴールとして定めている2030年には40%に達すると予想されています。
EV充電エネチェンジでは、今後も世界の電気自動車の動向について最新情報をお伝えしていきます。