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【2024年版】中国の電気自動車(EV)普及率、普及拡大の取り組みとは

更新日:

中国の電気自動車(EV)の普及率、中国政府のEV普及目標や普及拡大のための政策、中国のEV市場について詳しくご紹介します。

中国の新車販売に占めるEV・PHEVの比率は38%

国際エネルギー機関(IEA)の発表データによると、中国の新車販売台数におけるEV・PHEVの比率は、2023年時点で38%。およそ3台に1台が電気自動車という計算になります。

中国の新車販売台数におけるEV・PHEV比率の推移(2010-2023)

出典:Global EV Outlook 2024

注目すべきはその成長率。2018年から2020年までの3年間は5%程度でしたが、2021年には16%、2022年には29%、2023年には38%と急速に普及が進みました。

販売台数別でみると、2021年は325万台、2022年は590万台、2023年は810万台と脅威の伸び率をみせています。

中国のBEV・PHEV販売台数の推移(2010-2023)

出典:Global EV Outlook 2024

中国のEV充電器普及率

国際エネルギー機関(IEA)の発表データによると、中国国内で利用できる公共用のEV充電器数は、2023年時点で270万台。そのうち150万台が普通充電器、120万台が急速充電器です。

中国の普通充電器・急速充電器数の推移(2014-2023)

出典:Global EV Outlook 2024

2022年時点では普通充電器・急速充電器合わせて176万台でしたので、前年比1.5倍のスピードで増えている計算になります。

中国ではEVメーカーが新車購入者に家庭用充電器を無償提供するケースが多く、家庭用充電器の設置数も2023年8月時点で493万台以上と普及が進んでいます。

中国政府のEV普及目標

中国政府は、習近平国家主席が2020年9月の国連総会で「2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」と決意表明を行い、電気自動車などの「新エネルギー車(NEV)*」の普及をすすめています。

※「新エネルギー車(=NEV,New Energy Vehicle)」とは、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)をいいます。

中国政府は新車販売における新エネルギー車(NEV)の割合を2027年までに45%に引きあげることを目標にしています。もともと2025年までに20%以上、2030年までに40%以上、2035年までに50%以上に引きあげることを目標に掲げていましたが、早々にこの目標を達成したため、2023年に目標値が引きあげられました。

さらに、2035年には新車販売におけるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にするとし、ガソリン車は市場から排除される方針です。

中国政府のEV普及政策

中国政府は新エネルギー車(NEV)普及のための政策として、購入時の補助金支給と購入税免除などを行ってきました。現在はEV充電インフラの拡充に重点を置いています。

◎補助金支給

新エネルギー車(NEV)購入時の補助金政策は2010年にスタートしました。当時の補助金額はEVに搭載されるバッテリー容量に準拠しており、PHEVは1台につき上限5万元(約98万4,000円)、EV向けの補助金は1台につき上限6万元(約118万円)でした。

※カッコ内の日本円は7月10日時点のレートによる換算額

中国政府は新エネルギー車(NEV)の普及に合わせて2015年以降は新エネルギー車(NEV)への補助金を数年間かけて段階的に減らし、新エネルギー車が十分に普及したとして2022年末に補助金を終了しました。

なお、政府の補助金終了後も、北京市、上海市、広州市、海南省三亜市などの大都市は独自に補助金を提供して支援を続けています。

◎購入税免除

新エネルギー車(NEV)の購入税免除の政策は2014年に始まりました。新エネルギー車(NEV)購入者は、車を購入する際にかかる10%の税金が免除されます。

この政策は当初2023年末に終了予定でしたが、2025年末まで同様の免税が継続され、その後2027年末まで50%の減税措置が実施されることになりました。

◎EV充電インフラの急速な拡充

新エネルギー車(NEV)の普及が順調に進む中国では、現在、充電インフラの拡充に重点が置かれています。中国政府は、2030年までに広範囲にわたる充電インフラを構築し、国民の充電需要を満たすことを目指しています。具体的には、都市部と高速道路の充電インフラのカバー率を向上させ、農村部の充電インフラも拡充する予定です。

中国のEV市場

BYD DOLPHIN
出典:コンパクトEV「BYD DOLPHIN」2023年9月20日(水)より発売|ビーワイディージャパン株式会社

中国のEV市場では、どのメーカーが売り上げを伸ばしているのでしょうか。2023年1月〜10月に中国でもっとも売れたEVトップ10は以下になります。

  1. BYD「Song」
  2. BYD「Qin Plus」
  3. Tesla「Model Y」
  4. BYD「Yuan Plus」
  5. BYD「Dolphin」
  6. GAC「Aion S」
  7. GAC「Aion Y」
  8. SGMW「HongGuang Mini EV」
  9. BYD「Han」
  10. BYD「Seagull」

出典: 26% BEV Share In China! — China EV Sales Report – CleanTechnica

トップ10のうち半分以上を占めているのが中国の大手EVメーカー、BYDです。バッテリー製造事業から2003年に自動車産業に参入し、現在は中国1位のEV販売数を誇ります。EVとしては手頃な価格設定が人気を得ています。

6位と7位のGACは中国の国営自動車メーカーです。EVブランドのAionが近年販売台数を急速に伸ばしています。GACは1954年に設立され、トヨタ・ホンダ・三菱とそれぞれ合弁企業も設けています。

8位のSGMW(SAIC-GM-Wuling​​)は2002年に米ゼネラル・モーターズ(GM)、中国の上海汽車、柳州五菱汽車の合弁会社として設立されたメーカーです。EVモデルのHongGuang Mini EV( 宏光 MINI EV)は32,800元(約65万円)と衝撃的な低価格設定がされています。2020年7月の発売開始から20日間で1万5,000台を販売する大ヒットを記録しました。このモデルを皮切りに、他メーカーからも低価格のEVが続々登場しています。

また、中国のEV市場では新興メーカーの参入も相次いでおり、なかでもXpeng(シャオペン)、Li Auto(リオート)、Leap Motor(リープモーター)、Neta(ナタ)の成長は目ざましく、EVの売り上げを伸ばしています。

まとめ

  • 中国の新車販売台数におけるEV・PHEVの比率は2023年時点で38%
  • 中国国内の公共用EV充電器数は、2023年時点で270万台
  • 中国政府の目標は新車販売における新エネルギー車(NEV)の割合を2027年までに45%に引きあげ、2035年には新車販売におけるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にする方針
  • 中国では新エネルギー車(NEV)の普及が順調に進んでおり、現在は充電インフラの拡充に重点が置かれている
  • 中国のEV市場では低価格のEVが多数登場し、高い人気を集めている

中国政府の政策と市場に登場した低価格EVの人気が相まって、中国ではEVの普及が急速に進んでいます。EV普及の基盤が十分整った中国では、今後さらなるEV市場の成長が期待されます。引き続き中国の動向に注目です。

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