【2024年版】ドイツのEV普及率、普及拡大の取り組みと現状
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ドイツのEV普及率、ドイツ政府のEV普及目標や政策と現状、ドイツのEV市場についてくわしくご紹介します。
※「EV」は、BEV、HV、PHEV、FCVなど電気を使って動く車両全般を指す表現として用いられる場合もありますが、本記事では特別な注記がない場合には、BEV(電気自動車)を指します。
ドイツのEV普及率は31%
ドイツの新車販売台数におけるEV・PHEV比率の推移(2010-2022)
出典:Global EV Outlook 2023
国際エネルギー機関(IEA)の発表データによると、ドイツの新車販売台数におけるEV・PHEVの比率は、2022年時点で31%です。
近年大幅に普及率を伸ばしており、2019年は約3%でしたが、2020年には13%、2021年には26%、2022年には31%と上昇を続けています。
販売台数別でみると、2020年からの3年間で大幅に売り上げを伸ばしています。2022年のBEV販売台数は47万台、PHEV販売台数は36万台となっています。
ドイツのEV・PHV販売台数の推移(2010-2022)
出典:Global EV Outlook 2023
ドイツのEV充電器普及率
ドイツのEV充電器数の推移(2014-2022)
出典:Global EV Outlook 2023
国際エネルギー機関(IEA)の発表データによると、ドイツ国内で利用できる公共用のEV充電器数は、2022年時点で77,000基。そのうち64,000基が普通充電器、13,000基が急速充電器です。2021年時点では普通充電器・急速充電器合わせて59,300基でしたので、前年比1.3倍のスピードで増えている計算になります。
参考:Global EV Data Explore, IEA
ドイツ政府のEV普及目標
ドイツが加盟するEU(欧州連合)は、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指しており、目標達成のための中期目標として2035年までにガソリンやディーゼルを使うエンジン車の新車販売を禁止するとしています。
ドイツ政府は、EVを普及させるために以下の目標をたてています。
・2030年までにEVの登録台数を最低1,500万台にする
・2030年までに国内の公共EV充電器設置数を100万基まで拡充する
・2035年までに合成燃料(e-fuel)車を除き、エンジン車の新規登録を禁止する ※PHEVも禁止の対象。
ドイツ政府のEV普及政策
ドイツ政府はEV普及のための政策として、購入時の補助金支給と自動車税の優遇措置、EV充電インフラの拡充などを行ってきましたが、政府のEV普及目標には程遠く、苦戦を強いられています。
◉補助金支給
ドイツ政府はEVの普及を促すために2016年にEV購入時の補助金制度を導入しました。 2020年には補助金を増額したことで、EV普及が一気に加速しました。しかしながら2023年以降、補助金は段階的に縮小されてきており、割り当てられた財源を使い尽くした時点で補助金制度が終了します。
◉自動車税の優遇措置
ドイツ政府は2012年に自動車税の優遇措置を導入しました。2025年12月31日までに初めて登録するBEV(=100%電動車)の自動車税が10年間免税されます。
◉EV充電インフラの拡充
ドイツ政府は2019年、急速充電スタンド向けに2億ユーロ、普通充電スタンド向けに1億ユーロの財源を確保し、EV充電インフラの拡充をすすめてきました。
しかし、思うように拡充が進まず、2022年にEV充電インフラの拡充に今後3年間で63億ユーロを投じる計画を打ち出します。「電力網を考慮に入れたEVインフラ整備の実施」「大型商用車のための高速道路EV充電インフラ・企業の敷地内でのEV充電インフラの開発促進」「迅速なEV充電設置手続き実現のための手段を地方自治体へ提供」「設置・運用の主体を民間企業とすべく民間投資を促進」などの施策も追加されました。
2023年現在、ドイツ政府は9億ユーロをかけ、EVを保有する一般住宅への充電器・太陽光発電システム・蓄電設備の導入支援、企業への急速充電施設の導入支援をすすめています。
ドイツのEV市場
ドイツのEV市場では、どのメーカーが売り上げを伸ばしているのでしょうか。
以下は、2022年にドイツで売れたEVメーカーのランキングです。
カーメーカー |
EVの販売台数 |
人気の車種 |
テスラ |
69,963台 | モデルY、モデル3 |
フォルクスワーゲン |
63,206台 | ID.4、ID.5、ID.3、UP |
ヒョンデ |
32,877台 | KONA、IONIQ5 |
フィアット |
29,911台 | 500 |
オペル |
29,297台 | CORSA、MOKKA |
アウディ |
28,322台 | E-TRON、Q4 |
ルノー |
27,858台 | ZOE |
メルセデス・ベンツ |
25,182台 | EQA、EQB、EQC、EQE |
BMW |
23,470台 | 13 |
プジョー |
15,371台 | 208 |
ドイツの大手メーカー・フォルクスワーゲンを上回り、最も売れたのはアメリカメーカーのテスラでした。テスラは世界で最も売れているEVメーカーで、ドイツ市場でも確固たる人気と地位を確立しています。
次いで2位にフォルクスワーゲン、3位には韓国メーカーのヒョンデが入りました。
自動車大国・ドイツの国産メーカーはTOP10のうち半分を占めています(フォルクスワーゲン・オペル 、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW)。
◉EV化を急ぐドイツの自動車メーカー
ドイツの自動車メーカーは、相次いでEV化を発表しています。
メルセデス・ベンツは、2030年までに新車販売をEVのみにすると発表しています。
オペルは、2028年から欧州市場でEVのみを販売します。
BMWは、2030年に新車販売の50%以上をEVにする目標を掲げています。そのための中期目標として、2025年までに総販売の1/4をEVに、2026年までに1/3をEVにするとしています。
フォルクスワーゲングループは2030年までに新車販売の50%をEVにする計画です。同グループのアウディは2025年までに30種類の電動化モデルを提供することを目標に掲げ、ポルシェは2030年に新車販売の80%以上を電動化する目標を掲げています。
まとめ
ドイツは近年EV普及率を伸ばしていますが、政府目標の「2030年までにEV登録台数を最低1,500万台」に対して83万台(2022年時点)、「2030年までに国内の公共EV充電器設置数100万基」に対して77,000基(2022年時点)と、苦戦しています。
ドイツ政府のEV普及政策のうち、自動車税の優遇措置は2025年まで続けられますが、購入時の補助金支給は終了となる予定です。
ドイツの自動車メーカー各社はEV化に向けて動いています。ドイツのEV普及は政府目標に対してどこまで進むのでしょうか。今後もお伝えしていきます。
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