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EVの急速充電とは? 普通充電との違いや料金、使い方を解説

更新日:

EV(電気自動車)の充電には、急速充電と普通充電の2種類があります。

この記事では、EVの急速充電について、普通充電との違いや特徴、実際に利用する場合の充電時間や料金を分かりやすく解説します。

この記事ではBEVおよびPHEVの急速充電について解説しています。以下、BEVとPHEVを総称して「EV」または「電気自動車」と表記いたします。

急速充電と普通充電の違いは?

まずは急速充電と普通充電の違いについて説明します。

急速充電は50kW〜150kW程度の高出力で30分程度の短時間で充電するのに対して、普通充電は3kW〜6kW程度の出力で数時間かけてゆっくり充電するものです。

一見すると「短時間で充電できるのであれば高出力の急速充電の方が便利なのでは?」と思いがちですが、急速充電と普通充電は目的・利用シーンが異なるので、どちらかが優れているというわけではありません。

まずは「急速充電の大前提」について説明します。

EV充電の利用シーンの違い

EV充電の利用シーンは大きく分けて「経路充電」「基礎充電」「目的地充電」の3つに分類されます。このうち、急速充電は「経路充電」で多く使われています。

経路充電は急速充電で

「経路充電」は長距離移動の途中で目的地に着くまでに足りない分を補う充電のことです。たとえば高速道路のSA / PA や道の駅などに設置されるEV充電器は「経路充電」を想定しています。ユーザーは短時間で充電して早く目的地を目指したいので、「経路充電」では急速充電を選ぶことが一般的です。

基礎充電・目的地充電は普通充電で

「基礎充電」は自宅や職場の駐車場など生活の拠点となる場所で行う充電を指し、「目的地充電」はホテルやゴルフ場、商業施設など滞在時間の長い施設で行う充電を指します。いずれもユーザーは時間に余裕があるため、基礎充電・目的地充電と呼ばれる利用シーンでは普通充電を選ぶことが多いです。

【関連記事】EV充電の利用シーンについてさらに詳しくはこちらの記事をご確認ください。

普通充電と急速充電は使い分ける

繰り返しになりますが、普通充電と急速充電はどちらかが優れていて、どちらかが劣っているというわけではありません。EVユーザーは利用シーンや目的に応じて普通充電と急速充電を使い分けることが一般的です。

出力と充電時間の違い

急速充電と普通充電の決定的な違いは出力(kW)です。出力が高ければ高いほど充電スピードも上がります。

充電時間の目安

普通充電でゼロから満充電に要する時間は10時間~20時間程度、急速充電で1度の充電*に要する時間は30分から1時間程度です。車種や充電器の出力、外部環境等によって実際の充電時間は異なりますが、参考にしてください。

*普通充電と違い、急速充電では満充電になることはありません。80%〜90%程度で充電が自動で止まる仕様になっています。

例:日産リーフの普通 / 急速充電時間の違い

具体例として、日本でも販売数の多い日産リーフの60kWhバッテリー搭載モデル(航続距離:450km*)でメーカーが公称する充電時間をご紹介します。

*WLTCモードの場合。JC08モードでの航続距離は550kmです。

▼表:日産リーフ(60kWh)の充電目安時間

目安時間備考
急速充電1時間およそ充電量80%までの時間
普通充電(6kW)12.5時間満充電までの時間
普通充電(3kW)23.5時間満充電までの時間

参考:日産リーフ公式HP「航続距離・バッテリー」、「充電方法

急速充電の特徴

急速充電の特徴を3つに分けてご紹介いたします。

①急速充電は30分まで

公共用に設置されている急速充電器は、そのほとんどが30分の利用制限を設けています。

なるべく多くの人が充電できるよう、ユーザーは充電を開始してから30分後にはクルマを移動させなければいけません。

「充電時間の目安」の項でもお伝えしましたが、急速充電にかかる時間の目安は30分から1時間程度ですので、30分だけでも十分な電気量を蓄えることができます。

②急速充電では満充電できない

急速充電でEVのバッテリーを100%(=満充電)にすることはできません。

これは急速充電器の高出力からバッテリーを守るための仕様です。車種ごとに定められた上限値を超えると、自動で急速充電器の供給がストップします。充電量は80%が目安。多くても90%程度で充電が止まります。

③外気温によって充電スピードが低下

EVの充電パフォーマンスは、バッテリー本体の温度に左右されます。バッテリーが熱すぎる、または冷たすぎると充電スピードが低下してしまうのです。

とくに急速充電は、温度の影響が大きいことに注意しましょう。温度変化の一番の要因は外気温。つまり夏季・冬季は急速充電の時間が公称値よりも長くなる場合があります。

急速充電器の規格

EV充電器には「規格」が存在します。規格ごとに充電ポートの形状も異なりますので、異なる規格の充電器を利用することはできません。

急速充電器の規格について説明します。

日本は「CHAdeMO」が一般的

一般的なEVには普通充電用と急速充電用の2つの充電ポートがあります。日本のEVの場合、普通充電は「J1772」、急速充電では「CHAdeMO(チャデモ)」という規格が採用されています。

上の画像では、左が急速充電のCHAdeMO規格、右が普通充電のJ1772規格の充電ポートです。

普通充電のことをあえて「J1772」と呼称することはほぼありませんが、一方で、語呂がよいために急速充電のことを「チャデモ」と呼ぶEVユーザーは多いです。「CHAdeMO(チャデモ)」=「急速充電」という理解でよいでしょう。

世界各国には「CCS」「GB/T」といった急速充電の規格もありますが、海外メーカーのEVも日本仕様車ではCHAdeMO規格を採用することが一般的です。

テスラは日本でも独自規格を採用

テスラの提供する充電器には、「NACS規格」が採用されており、CHAdeMO規格とは異なります。なお、「スーパーチャージャー」「TPC」などと一般に称されることもありますが、いずれも同じ意味と捉えて構わないでしょう。

テスラの規格は日本のCHAdeMO規格とは異なるため、そのままでは利用することができませんが、専用の変換アダプターがあれば充電可能です。

なお、日本のテスラユーザーの多くは専用変換アダプターを所有しています。

補足:テスラ独自規格が世界水準に?

テスラの「NACS規格」とは、 “North American Charging Standard” の略で、日本語に直訳すると「北米充電標準規格」となります。

テスラは独占的に開発・提供してきた「TPC規格」から、2022年11月に「NACS規格」と名称を改めて、各メーカーに公開しました。従来はテスラのみの独立した規格でしたが、今後はこの「NACS規格」が世界的な標準になるのではないかという予想や議論が起こっています。

急速充電器はどこに設置されている?

現在、日本国内における急速充電器の設置箇所は8,179箇所*です。

なお、普通充電器は12,146箇所*。普通・急速とあわせて全国で約2万箇所にEV充電器が設置されています。

*出典:EV充電検索サイト「EVsmart」(2023年11月1日時点)

急速充電器は利用シーンの特性上、道の駅や高速道路のSA / PAなど、目的地までの経由地に設置されることが一般的です。

▼急速充電器が設置されている主な施設
・道の駅
・高速道路 SA / PA
・高速道路 IC に近い商業施設
・公道
・コンビニエンスストア
・カーディーラー

急速充電器を簡単に探すには?

EV充電スポットは、地図アプリや車載カーナビなどで探すことができます。とくに以下のアプリやサービスが便利です。

EV充電スタンド情報サイト「EVsmart」

EVsmartは全国のEV充電スポットの最新情報が更新されています。充電器の利用可能時間、出力、設置されている口数や口コミなどを確認することができます。

EVライフに役立つ情報を発信する「EVsmartブログ」も利用者目線でおすすめです。

EV充電スタンド情報サイト「GoGoEV」

GoGoEV」もEVsmartと同様のEV充電スタンド情報サイトです。充電器の利用可能時間、出力、設置されている口数や口コミなどが確認可能です。

EV充電エネチェンジ(スマートフォンアプリ)

「EV充電エネチェンジ」は当社のEV充電器を操作・キャッシュレス決済できるスマートフォンアプリです。「EV充電エネチェンジ」のアプリの検索機能では、エネチェンジの提供している普通充電器のほか、全国に設置されている他事業者の充電器も検索できます。もちろん急速充電器だけに絞って検索することも可能です。充電器の利用可能時間、出力、設置されている台数や口コミなどを確認することができます。

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事前にチェックして充電計画を

EVで旅行などの長距離ドライブをする際には、あらかじめ急速充電器の場所をチェックして充電を計画するのがおすすめです。

先ほどご紹介したアプリやWebで急速充電の設置場所や出力などを事前に確認しておくとよいでしょう。

心配な場合は出力もチェック

さらに綿密な計画を立てるには、充電量を把握するのがおすすめです。

バッテリーに充電される電気量(kWh)は出力(kW)×時間(h)で概算することができます。急速充電器の利用は原則30分ですので、利用する予定の急速充電器の出力数(kW)の半分の電気量(kWh)がたまることを頭に入れておけば、充電の計画も立てやすいでしょう。

たとえば50kWの急速充電であれば 50kW×0.5h なので25kWhの電気が充電できますし、国内におけるCHAdeMOの最大出力である150kWであれば、150kW×0.5hで75kWhの充電になります。参考までにいくつかの車種のバッテリー容量を改めてご紹介しますと、テスラのモデル3のバッテリー容量は80kWh前後、SUVの日産アリアでも66kWh〜91kWhです。30分だけであっても急速充電ならグンとバッテリー残量が回復することが分かります。

なお、上記の計算式はあくまでも概算です。夏季や冬季は気温の影響で充電パフォーマンスは落ちてしまいますし、1台の充電器に複数口のプラグがついており、同時に利用する場合は出力が落ちて充電速度が想定よりも遅くなる可能性があることに注意してください。

急速充電の充電料金は?

急速充電は充電カードでの決済が大半です。契約している充電カードのプランによって料金体系は変動します。

たとえば、日産自動車が提供しているZESP3の充電カードの料金体系は以下のとおりです。

参考:ZESP3のプランと充電料金

急速充電の料金の目安

上記の「ZESP3」の場合、プランの上限以上に急速充電を利用する場合の料金は1分あたり44円から99円ですので、1回の充電(=30分)あたりに換算すると1,320円~2,970円となります。

また、e-mobility Power のビジター料金は、50kW以下の充電器は30分あたり1,650円、90kW以上は30分あたり2,310円です。「普通・急速併用プラン」は月額料金4,180円に加えて、都度利用料金がかかります。都度料金は1回の充電(=30分)あたり825円です。

参考:e-Mobility Power会員料金のご案内

契約する充電カードのプラン内容によって料金はさまざまです。ライフスタイルにあわせて適切なプランを選びましょう。

急速充電器の使い方は?

この項では急速充電器の利用方法をご案内します。

一般的にEV充電はユーザーがセルフで行いますが、誰でも簡単・安全に操作可能です。

まず設置された急速充電器からコネクタを取り出し、充電ポートに接続します。つぎに充電器の画面の指示に従って充電時間や支払い方法を選択してください。なお、支払いは電子決済や充電カードが基本です。充電カードの場合は、充電終了後に決済が完了します。

充電している間は、コネクタを挿しっぱなしにしてクルマから離れても構いません。充電が終了した後は、コネクタを充電ポートから取り外し、元の場所に戻しましょう。

急速充電器の使い方について、さらに詳しくはこちらの記事をお読みください。

30分の時間制限に注意

先ほどもお伝えしましたが、急速充電器には30分の時間制限があります。バッテリーへの過度な充電を防ぎ、より多くのユーザーが使えるためのルールです。

たとえば高速道路のSA/PAで急速充電を利用する際は、トイレ休憩や運転の小休憩をとりながらEVを充電して、30分で戻って、つぎのユーザーのためにクルマを移動させる必要があります。30分以上の休憩をとりたい場合でも、置きっぱなしは厳禁です。

もちろん充電中に車内で待機していても構いません。感電などの心配はありません。

急速充電器は自宅に設置できる?

自宅に急速充電器を設置することは技術的には可能ですが、あまりおすすめできません

急速充電器は本体購入費だけでも600万円*程度のコストがかかり、高圧電源を扱うため工事費も高額です。一般的な家庭が契約している電力プランでは電気容量も足りません。

*参考:令和4年度補正および令和5年度EVインフラ補助金 申請の手引き記載の急速充電補助上限額

自宅に設置するなら普通充電器

自宅にEV充電器を設置するなら普通充電器がよいでしょう。自宅であれば充電する時間は十分にあるので、急速充電をする必要もありません。各自動車メーカーがオプションで提供する自宅用のEV充電器もすべて普通充電器です。

自宅に設置する普通充電器の費用相場は10万円程度。安いものであれば5万円以下で取り付けることができます。

戸建て住宅・マンションいずれの場合においても、急速充電器ではなく普通充電器を設置することが現実的な選択と言えます。

戸建て住宅にEV充電器を設置する場合

戸建て住宅の場合は、コンセント型の3kW普通充電器を設置するのが一般的です。充電器本体も安価で、設置工事も比較的簡単なため、低コストで設置することができます。

ただし、最近のEVはバッテリーが大容量化しており、車種によってはコンセント型の出力では「一晩たっても満充電されない」というケースもあります。

▼図:充電時間の簡易的なイメージ

自宅にEV充電器を設置する際には、出力にも注意しましょう。

マンションにEV充電器を設置する場合

マンションの場合は、共用部にEV充電器を設置して、居住者同士で譲り合って利用するケースが一般的です。設置後の運用イメージは分譲と賃貸で大きな違いはありません。

複数のユーザーがEV充電器を利用するため、待ち時間を軽減するためにも、なるべく出力の高い充電器が求められます。先述のとおり急速充電器は設置費用も高くオーバースペックで現実的ではありませんが、普通充電器の中でも6kW以上の高出力の機器がおすすめです。

お住まいのマンションへEV充電器の導入をご検討の方は、導入台数No.1 *の「EV充電エネチェンジ」にご相談ください。マンションへの設置に適した6kWのケーブル一体型EV充電器をご利用いただけます。

設置・月額費用が0円で、従量電気代も実質分を還元する「マンションゼロプラン」をご用意しております。

ぜひエネチェンジへお気軽にお声がけください。

まとめ

急速充電の特徴や普通充電との違い、料金や使い方について解説しました。急速充電と普通充電の違いを十分に理解して、適切に使い分けて快適なEVライフをお送りください。

急速充電を利用するには、自動車メーカーなどが発行する「充電カード」が必要となることが大半です。

エネチェンジが提供する「EV充電エネチェンジ」の普通充電器は、スマートフォンアプリでも充電カードでも利用可能です。カードをかざすだけで充電ができますので、お見かけの際はぜひ使ってみてください。

エネチェンジは充電器を設置したい施設オーナー様のご相談も承っています。どうぞお気軽にお声がけください。

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