【セミナーレポート #2】横浜市でのゼロカーボンに向けた取り組み事例
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エネチェンジは、横浜市と「横浜市の公共施設などへの普通充電設備の普及に向けた連携協定」を締結しました。
2023年7月27日に開催した自治体のご担当者様向けのオンラインセミナーでは、横浜市の山本様をゲストとしてお招きし、横浜市が行うゼロカーボンに向けた取り組みや連携協定の内容についてご紹介しました。
この記事では、当日の講演内容を一部抜粋してご紹介します。
「エネチェンジ」の自治体との取り組みについて詳しくはこちら
横浜市が目指す「Zero Carbon Yokohama」の実現〜横浜市の次世代自動車普及に向けた取り組みについて〜
横浜市が目指している、「Zero Carbon Yokohama」の実現に向けた取り組みについて、横浜市 環境創造局 環境保全部 環境エネルギー課の山本様にご紹介いただきました。
横浜市では、2023年の1月に「横浜市地球温暖化対策実行計画」を改訂しました。
2050年の横浜市の将来像として「Zero Carbon Yokohama」を掲げ、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロの達成を目指しています。
横浜市におけるCO2排出量のうち、約2割を占めているのが運輸部門ということが試算されています。
なかでも、運輸部門におけるCO2排出量の約8割以上は自動車からの排出となるため、横浜市では次世代自動車の普及およびインフラの整備を実行計画の中で重点取り組みに位置づけています。
◎公用車への次世代自動車導入
表は、2022年3月末時点での横浜市内の次世代自動車(EV、PHEV、FCV)、ハイブリッド車(HV)、それらを含む市内全体の自動車の登録台数です。現在、市内全体の自動車登録台数は約130万台あり、そのうち次世代自動車の登録台数は8,909台です。
台数としては着実に増加はしているものの、登録台数全体数から見た次世代自動車の割合は1%にも満たないため、次世代自動車の普及に向けたさらなる取り組みが一層求められると考えています。
そのため、まずはじめに公用車への次世代自動車の導入を率先して行っています。
2020年以降、一般公用車*のうち乗用車はEV、PHV、FCVの導入を原則としています。
さらに、2030年度までには、一般公用車の100%次世代自動車化・HV化を目標としています。
※一般公用車:乗用車、貨物車(バス、救急車、消防車などの特種公用車を除く)
2021年度末時点で、一般公用車は約1400台。そのうち、次世代自動車およびHVは合計で422台と全体の3割程度となっています。まだまだ次世代自動車の割合は多くないため、今後の車両交換のタイミングに合わせて切り替えを進めて行く方針です。
◎公共施設への一般向けの充電器の設置
充電インフラにおいては、公共施設への一般向けの充電設備の設置を行っています。
たとえば、2020年に竣工した横浜市の新庁舎(写真左)には、地下の駐車場に急速充電器を2基設置しています(写真中央)。ほかにも、区役所の来庁用駐車場には普通充電器を1基ずつ設置しています。
また、区役所では地域の再生可能エネルギーを有効に活用するため、市内にある4つのごみ焼却工場で発電した電気を利用した急速充電器を設置しています(写真右)。都筑工場の充電器は一般の方も使える充電器となりますが、かなり利用頻度の高い充電器となっています。
◎一般公道への急速充電器の設置
横浜市は、令和2年3月に株式会社e-Mobility Powerと「横浜市内のEV普及促進に向けた連携協定」を締結しました。その協定の一環として、一般公道に急速充電器を設置するという社会実験を実施しています。
場所は横浜市青葉区。全国で初めての一般公道上のEV充電器の設置となります。公道に充電器を設置する際の課題などを検証する実証実験を令和3年6月より開始しました。
この急速充電器は2台同時に充電できる仕様になっており、道路脇のスペース(写真中央下)を利用して急速充電器が設置できる場所を作りました。
さらに今年の2月には実証実験第2弾として、都筑区にある市営地下鉄「センター南駅」の駅前ロータリーに急速充電器を設置しました。駅前ロータリーに設置されるのは全国初の取り組みということで、こちらもかなり利用頻度が高くなっています。
◎横浜市の補助金
次に、横浜市の補助金についてご説明します。
横浜市はEVやPHVの普及促進のため、集合住宅向けのEV用充電器の設置補助やV2Hの設置補助を行っています。
国で集合住宅における充電器設置促進を課題としているなか、横浜市の全住宅の約180万世帯のうち、約6割が集合住宅となっています(左の円グラフ参照)。そのため、集合住宅向けの設置補助制度を令和2年度から実施しています。
また令和3年度からは、EVに対する購買意欲を高めるため、「災害時にEVを蓄電池として活用できる」「太陽光発電システムと組み合わせることで電気を貯めて使える」という、EVのポテンシャルを最大限に引き出すことができる、V2Hの補助も実施しています。
このように、横浜市では次世代自動車の普及およびインフラの整備を重点課題として積極的に推進することで、温室効果ガスの実質ゼロの達成を目指す「Zero Carbon Yokohama」の実現に取り組んでいます。
エネチェンジと横浜市の連携協定について
エネチェンジは横浜市が目指す「Zero Carbon Yokohama」の実現のため、横浜市と「横浜市の公共施設などへの普通充電設備の普及に向けた連携協定」を締結しました。(6月29日に共同プレスリリース公開)
今回の連携協定の内容について、エネチェンジのEV充電サービス事業部 自治体担当の小川雅人が、解説します。
【関連プレスリリース】
エネチェンジ公式HP「エネチェンジと横浜市が普通充電設備の普及に向けた連携協定を締結」
横浜市公式HP「横浜市とENECHANGE株式会社が普通充電設備の普及に向けた連携協定を締結します」
どういった内容かというと、まず横浜市から公共施設の土地の利用許可をいただき、その土地に対してエネチェンジが充電インフラの設備を提供する体制になっています。
充電器に関してはエネチェンジの所有域になるため、設置後の充電器の管理やメンテナンスに関してはすべてエネチェンジで行います。また、運用していく中での充電器の利用状況のデータは、継続的にエネチェンジから横浜市に提供します。
充電器の設置に関する指定管理会社、施設ごとの所管課などの関係者との調整に関しては、横浜市で取りまとめていただく、といった体制になっております。
横浜市は公共施設や一般公道への急速充電設備の設置を進める一方で、普通充電設備の整備には課題があり、普通充電設備の設置を進めるエネチェンジと連携協定を締結する運びとなりました。
◎連携協定内容の紹介
ひとつめは、横浜市の公共施設等への普通充電設備の普及およびユーザーの利便性向上に向けた取り組みです。
充電器を設置した後は、エネチェンジが運用している各種メディアを通して、多くのEVユーザーの方にPRすることで、市のEVシフトを推進します。PRの一環としてEV充電器を設置した横浜市内の施設の集客につながるような記事を、エネチェンジから発信する予定です。
さらに、ノベルティグッズなどを絡めたマーケティングの施策をサポートすることによって、市内の観光客の集客をエネチェンジでバックアップします。
施設利用者の利便性向上による集客増加だけでなく、ゼロカーボンにつなげることが非常に大事な文脈になる、と考えています。
ふたつめは、目的地充電に関する普通充電設備の整備水準の検討のサポートです。
充電器の稼働実績などのデータから最適なEV充電インフラ整備の在り方について、エネチェンジから助言を行います。どのような施設に対してどのくらいの普通充電器を設置するのが適切か、横浜市における整備水準の整理にかかわることで、EVユーザーにとって利便性の高い最適な充電インフラを構築していきます。
また、老朽化した充電器に対して、ニーズの高い6kW普通充電器へのアップデートを提案していきます。
以上が、エネチェンジと横浜市の連携協定の内容となります。
エネチェンジは横浜市が目指す「Zero Carbon Yokohama」の実現のため、連携協定の内容をもとに市のゼロカーボンの取り組みをサポートしていきます。
ゼロカーボンシティの実現にむけて
今回はオンラインセミナーの内容をもとに横浜市の取り組みと、エネチェンジと横浜市の連携協定の内容についてお伝えしました。
横浜市ではゼロカーボンシティの実現に積極的に取り組んでおり、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするため、次世代自動車の普及およびインフラの整備を重点取り組みとして位置づけています。
横浜市の更なる発展のために、エネチェンジでは充電インフラの側面からお手伝いしていきます。
充電器は、導入して終わりではありません。地域の住民や、地域外から訪れるEVユーザーが快適に利用できる持続可能なインフラを構築するために、まずは適切な設置計画を検討するところから始めましょう。
自分の地域では、どの施設に導入するのが適切か、また何台設置してどのように運用するのがよいか気になった方は、ぜひエネチェンジに相談ください。
また、当社では自治体のご担当者さま向けのセミナーを定期開催しています。EVやEV充電に関する基礎知識から、自治体のゼロカーボンに向けた取り組み、EV充電器の具体的な導入事例までわかりやすくご紹介します。
最新の開催情報につきましてはこちらのページにてご確認ください。