FCEV・FCVとは?燃料電池自動車の特徴
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FCEV・FCVとは燃料電池自動車のことをいい、水素をエネルギー源として走ります。FCEV・FCVの仕組みや特徴について、くわしく解説します。
FCEV・FCVとは?
FCEV・FCVとは、水素と酸素の化学反応によって電気を発生させる燃料電池を搭載した車で、水素をエネルギー源として走ります。FCEVやFCVと呼ばれるのは、Fuel Cell Electric Vehicleの略称です。
FCEV・FCVは、電動車(EV)の種類のひとつにあたります。電動車(EV)の種類には、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV・HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV・PHV)、燃料電池自動車(FCEV・FCV)があります。
種類 | 備考 | |
EV | BEV 電気自動車 | 単に「EV」と呼ばれることも。 HVやPHEVなどと区別する際に「BEV」という。 |
HV ハイブリッド車 | ガソリンと電気の2つのエネルギーを利用。 ただしバッテリーは走行時の発電に依存。外部からの給電はできない。HEVとも。 |
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PHEV プラグインハイブリッド車 | ガソリンと電気の2つのエネルギーを利用。 BEVと同様に外部電源から給電できるのが大きな特徴。PHVとも。 |
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FCV 燃料電池自動車 | 専用の水素ステーションから補充した水素ガスを利用して発電。FCEVとも。 |
FCEV・FCVのしくみ
FCEV・FCVは、車両に搭載した燃料電池で水素と酸素を化学反応させて発電し、その電気でモーターを動かして走行するしくみです。
エネルギー補給は専用の水素ステーションで行います。水素ステーションは全国167カ所(2023年5月時点)※とまだ少ないですが、政府は2030年までに1000基を整備する目標を掲げており、今後水素ステーションの数が増えていくことが予想されます。
FCEV・FCVの特徴
FCEV・FCVのエネルギー源は水素と酸素なので、排出されるのは水のみ。走行時に二酸化炭素(CO2)や有害ガスを排出しません。
走行時の音もガソリン自動車と比べて静かです。エネルギー補給も時間がかからず、水素ステーションで水素を充填する時間は3分程度とガソリン自動車と同等です。
また、FCEV・FCVは、BEVやPHEVと同じように、外部給電機能を活用して災害時などに非常用電源として使うこともできます。
FCEV・FCVのメリット4つ
FCEV・FCVには以下4つのメリットがあります。
- 環境に優しい
- 高いエネルギー効率
- 短時間で燃料充填
- 騒音が少ない
1.環境に優しい
走行中に排出されるのは、水(水蒸気)のみです。CO2や大気汚染物質の排出がゼロで環境に優しいということが一番のメリットです。
2.高いエネルギー効率
FCEV・FCVは低出力域でも高効率を維持できます。エネルギー効率はガソリン自動車の倍と高いエネルギー効率を持っています。
3.短時間で燃料充填
FCEV・FCVの燃料充填時間は3分程度と短く、ガソリン自動車と同程度です。
4.騒音が少ない
FCEV・FCVは、水素と酸素を化学反応させて発電し、その電気でモーターを動かして走行するため低振動・低騒音です。閑静な住宅街でも近所迷惑になる心配がなく、車の騒音問題のリスク低減に繋がります。
FCEV・FCVのデメリット2つ
FCEV・FCVのデメリットは以下2つです。
- 水素ステーションが少ない
- 車体価格が高い
1.水素ステーションが少ない
FCEV・FCVの燃料充填には水素ステーションを利用します。
しかし、水素ステーションは全国に167カ所(2023年5月時点)※と少ないです。また、首都圏54カ所、中京圏51カ所、関西圏20カ所、九州圏15カ所、その他地域27カ所と、四大都市圏を中心に設置されています。
水素ステーションが近隣にない場合、不便かもしれません。
2.車体価格が高い
FCEV・FCVの新車価格は、700万円以上〜とガソリン自動車と比べ倍以上の価格です。
メーカー名 | 車名 | 値段 |
トヨタ | MIRAI(G) | 7,106,000円(税込) |
ヒョンデ | ネッソ | 7,768,300円 (税込) |
上記の表からもFCEV・FCVは高額なのがわかります。国の補助金であるCEV補助金を利用しても500万円以上となり、簡単に購入できないのが現状です。
水素ステーションの拡充も進んでいますが、ガソリンスタンドの29,005カ所(2021年3月時点)やEV充電器の20,067カ所(2023年7月時点)に比べるとまだまだ少ないです。FCEV・FCVを購入する際には、近隣に水素ステーションがあることが条件になりそうです。
出典:経済産業省・資源エネルギー庁(ガソリンスタンド数)
EVsmart(EV充電器数)
まとめ
FCEV・FCVについてご紹介しました。日本政府は、2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする目標を掲げています。今後はこれまでのガソリン自動車に変わり、FCEV・FCVを含めた電動車が主流となっていくことが予想されます。
EV(電動車)について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。